本当に霞ヶ浦流域のアサザを保全したいのなら(2)

23日は琵琶湖で10年以上確認されているアサザを見に行きました。私のこれまでの記事を読んでおられる方ならおわかりのように、当然ながら、波あたりが強い琵琶湖の中ではなく、流入する水路に生えていました。
ちょうど通りかかった農家の方に聞いたところ、今月になって、水路の「どぶさらえ」をしたばかりとのことでした。農業指導の方が来る前に水草を除去しておかねばならないそうです。確かに、「どぶさらえ」にあったアサザが畝につまれていました。乾燥してもなおたくましく生きています。

除去直後の水路でも、アサザはこれだけまた増えています(逆にどぶさらえしないと、有機物が過剰になってアサザは消えると思います)。また、写真でおわかりのように、アサザは水質的には相当ひどい状態(油まみれ、ゴミまみれ)でも生きていけて、成長速度は非常に高いのです。

私が霞ヶ浦でのアサザ植栽を批判していることについて、絶滅危急種の保全という点からはアサザ基金がやっていることに意義があるのでは、という意見をいただくことがあります。アサザ保全すべきという点ではその通りで、だからこそ私はアサザ基金のやり方を批判しています。彼らがやっていることは、アサザ保全になっていないのです。
各地のアサザの状況、そして霞ヶ浦での聞き取りから、アサザ基金が植栽を繰り返していたところは短期的にアサザがいたことはあっても、定常的に住みやすい環境ではありませんでした。だから消えたのです。それを水位操作や護岸工事とか、証拠もなく公共工事が原因と決めつけ、本来の生息環境とはどういうところかを検討するという、保全を考える上での基本を怠ったのがアサザ基金の活動です。彼らは保全とはほど遠い煽動に子供達を巻き込んで、本来は二枚貝がいた砂地にアサザを無理矢理植えさせるなど、環境破壊に荷担させたと言えます。
アサザ植栽事業による底質変化については既に発表しましたが、秋の学会では生態系がどう変わったかについて発表する予定です)