霞ヶ浦のアサザ植栽事業、どうすれば防げたのか

秋の学会シーズン、応用生態工学会で2件、水環境学会で1件、陸水学会で4件、霞ヶ浦アサザ植栽事業について発表しました。
この事業によって湖岸環境が悪化したことについては、これらの学会では反論はありませんでした。ではなぜ環境を悪化させる事業が、再生事業として社会に広まってしまったのか。

事業の立ち上げにおいては、権威とされる研究者が他分野の研究者と十分な議論をしないで、誤った記載を本にして広めてしまいました。これについては、自然再生や生物の保全を目的とする事業であっても必ずアセスメントを行い、パブリックコメントを募り、住民の合意のもとに事業を進める仕組みを徹底することで、かえって環境を悪化させる危険を防ぐことができると思います。

住民参加に関して、事業に関わる収入に依存する団体が現れると、順応的管理によって中止することが極めて困難になります。これについては専門家の方々も問題視されています。関心のある方々での議論の進展が望まれます。

最後に、自然再生事業においては不確定な仮説や手法によって事業が進められている可能性があることから、順応的管理を行います。このような不確定要素の高い事業に義務教育の一部として児童を参加させると、後に間違いが判明したときにそこで教えたことを修正できません。義務教育では自然再生事業に関わらないことを原則とすべきでしょう。