美味しんぼ(109)日本全県巡り島根編

美味しんぼ(109)日本全県巡り島根編」が発行されました。
「3.11で破壊された東北の光景に心を縛られているだけではなく、かつての東北に劣らない風土を見て復興を成し遂げよう」と、冒頭で海原雄山が語るシーンに出て来るのは宍道湖。そして巻末、至高のメニューの最後に出されたのも、宍道湖シジミ汁。
美しく豊かな宍道湖。でも現実の宍道湖は、美しい風景も豊かなシジミも失われつつあります。
美味しんぼ(104)58頁で海原雄山は、気に入っていた砂浜の衰退を見て、「今はどこも消波ブロックが並び、日本はみにくい海岸ばかりの国になってしまった。天に恵まれた美しい環境を、日本人は自分の手でぶち壊したのだ。」と激怒しています。そういった不自然でみにくい消波施設が、宍道湖の砂浜にも並んでいます。ヨシを守るとの理由です。消波施設に守られなければならないような砂浜に、そもそもヨシが生えていたのでしょうか。そしてヨシ植栽地が増えるにつれ、シジミ漁獲量は減っていきました。
なぜシジミが減ったのか検討中ですが、消波や水際にヨシを植えることは、シジミが住みにくい泥や有機物を貯める可能性はあっても、シジミを増やす可能性はありません。
かつて宍道湖は淡水化されるところでしたが、淡水化によって水質が良くなるとは限らないことから延期になり、最終的に中止になりました。淡水化の危機を乗り越えた宍道湖が美しさと豊かさを取り戻すために、科学的な根拠が明らかになるまでは、ヨシ植栽と消波施設の設置を延期すべきだと思います。

美味しんぼ 109 (ビッグ コミックス)

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