湖本来の生態系を取り戻すために

滋賀県琵琶湖環境科学研究センター研究報告書No7の147ページに下記の文章がありました。霞ヶ浦宍道湖も琵琶湖同様、波が高い湖沼です。そして消波施設を作ってヨシを植栽している所が数多くあります。それは本来の湖沼生態系の保全なのか、原点から問い直して頂きたいと思います。
霞ヶ浦については特に、失われた内湖的な環境を堤防の湖側に作ろうとしたのが、アサザ植栽事業の趣旨でした。琵琶湖での研究成果は、この事業がもたらした環境改悪の原因と今後目指すべき方向について参考になるでしょう。

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これまでの湖沼管理のあり方は、ともすれば琵琶湖本湖そのものを内湖的な環境、あるいは人が管理しやすい環境に変えようとする動きが少なくなかった。例えばヨシの植栽にしても、波浪の影響を弱めるために消波堤を建設した後、陸側にヨシを植栽する事例が多く、消波堤によって風波が弱まった水辺には、往々にして外来植物のアゾラやチクゴスズメノヒエが繁茂する事例がみられた。
今後は、琵琶湖本湖は波浪エネルギーの大きな大湖沼であることを前提として、できるだけ自然の形成作用を生かすような形で、内湖とは別の環境を維持していく方向に舵を切っていくことが、真の意味で琵琶湖本来の生態系を取り戻すことにつながると考えられる。