宍道湖はかつて淡水化されようとしていたのですが、淡水になるとシジミが住めなくなり、植物プランクトンを食べる動物がいなくなって水質が悪化するとして反対運動が盛り上がりました。いま、アオコや水草が繁茂している宍道湖は汽水というより淡水湖に近く、シジミが減った大きな要因が塩分であるのは間違いありません。
「だから大橋川を拡幅する時に堰を作れば、大橋川で塩水、ダムで淡水の量を調節して、水質維持のために理想的な塩分が保てる」と数年前からことあるごとに訴えています。今日も土木関係の知人にそう話したのですが、案の定「堰ですか。。。」。長良川河口堰問題は土木関係の方々にとっては本当に深刻だったので、「堰」というだけで躊躇してしまうところがあります。加えて、ここまでシジミが危機的になっても、放置していたら壊滅的になっても誰も非難されません。でも塩分を増やすことでシジミが増えると同時に貧酸素化が加速されたら、シジミが増えたことをさておいて非難する人は必ずでてきます。国土交通省として躊躇するのは無理からぬところです。
考えられる弊害について対策を準備するのはもちろんですが、それでも自然相手ですから、それまでモニタリングしていないことが施行後顕在化することだってあります。
だから合意形成が必要。そして合意を形成する上で、思い込みや絵空事ではなく、科学リテラシーに基づいた議論が必要。ヨシを植えればシジミが増えるなんてあり得ないことが義務教育で教えられている間は、まだまだです。
因みに国土交通省が管理する一級河川では堰によって塩分調節されているところはありませんが、神西湖や東郷池などのシジミ産地を有する河川では、県によって塩分調節されています。