湖の放射線汚染の防止は陸上の除線から〜アサザ基金の奇妙な主張

昨日は手賀沼親水広場で会議がありました。敷地では芝生の除線作業が行われていました。

環境省の湖心堆積物調査では、1kg乾泥あたり放射性セシウム濃度が霞ヶ浦で178ベクレルであったのに対し、牛久沼は1170ベクレル、手賀沼は上流川中央で7600ベクレル、下流川中央で1540ベクレルでした。
(出典:http://www.env.go.jp/jishin/monitoring/result_pw130207-1.pdf

こういう状況でアサザ基金は、霞ヶ浦では河川堆積物のモニタリングが不足している、霞ヶ浦では水位操作により放射性セシウムがたまっていると、国や県を批判しています。例えば下記リンクに、アサザ基金の主張が図入りで解説されています。
http://www.kasumigaura.net/asaza/03activity/01lake/save/121208sinpo_iijima.pdf

モニタリング地点は多い方がよいのでしょうが、限られた予算で何を優先するかを考えれば、まず陸上の除線でしょう。手賀沼霞ヶ浦よりはるかに汚染が深刻ですが、「もっと多くの河川で調べろ」なんて主張は聞いたことがありません(たとえあっても極めてマイナーでしょう)。

霞ヶ浦では水位操作により放射性セシウムがたまりやすくなっているとアサザ基金は主張していますが、では逆に水門をあければ湖心に放射性セシウムが堆積しないのでしょうか。そうではないことが、手賀沼の方が霞ヶ浦よりはるかに高いことから分かります。陸上にどれだけ降ったか、それをどれだけ除去できるかで、湖への蓄積が左右されます(これについては自ら放射線を測って、学術論文を投稿しました)。

正直、私にはアサザ基金は不安を煽っているようにしか見えません。霞ヶ浦湖水を原水とする水道水にセシウムが検出される可能性が極めて低いことは、住民の皆様も了解されていると思います。漁業の為であれば、アサザ基金がやっていることは逆に、不安を煽ることで禍根を残すのではないでしょうか。第一、アサザ基金の代表は霞ヶ浦よりはるかに高い濃度の牛久沼のそばにお住まいで、牛久沼でも漁業が行われているのに、何も発言しないのはなぜでしょう。
彼にとって「地元である牛久沼はどうなってもいいから、霞ヶ浦は救いたい!」という崇高な理想があるのでしたら、実際に霞ヶ浦の汚染が減るよう、例えば除線を急ぐよう東電に働きかけるなど、不安材料が現実に減るような提案をしていただきたいと、霞ヶ浦からの水を飲んでいる私は思います。

(追伸)
放射線の専門家の方や手賀沼周辺にお住まいの方には、なぜ私が今さらこういう指摘をせねばならないのか、不思議に思うかもしれません。
かつて「アサザを植えて水質がよくなるなど、あり得ない」(2010年8月12日記事参照)ことが住民には分かっていたのに、小学校は子供達にアサザを植えると水質浄化すると教育し、今では「アサザは水質を浄化する」という誤解が義務教育の副読本に書かれるまでになりました(2012年4月1日記事参照)。
こうなった背景のひとつが、環境の専門家と目されていた鷲谷いずみ東大教授が「アサザは虫が食べるから水質浄化になる」と一般書アサザ基金の非科学的な主張を弁護する内容を書いたことです。動物に食べられてそれが系外に出ることが浄化であれば、植物プランクトンは漁獲対象種が直接・間接に食べて漁獲により系外に出て行くのですから、「植物プランクトンが増えることは水質浄化」という、わけの分からないことになってしまいます(水質浄化とは、具体的には植物プランクトン(=有機物)が減ることを指します)。
私は同じ東大の理学部出身の女性教授が不正確な発言を繰り返してこういう事態を招いたことは、将来、女性科学者に対する不信を招かないかと過度かもしれませんが心配していて、何とかしてこの弊害を少なくせねばと思っています。
そして放射線についても、科学的な知見を欠く東大教授がまた現れてアサザ基金を弁護する兆しがあるので、誤解が広まるのは防ぎたいと思い、今日の記事を書きました。