ヨシによる負荷、プールの塩素処理副生物

本日の水環境学会の発表から、特に印象に残った2題です。
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2A09-1 河道内を起源としたヨシの流出分布とその特性
河道から流出するヨシが水質に与える影響を調査。枯れたヨシにペンキを塗って、その面積の減少から流出量を見積もる。また切断したヨシ試料を蒸留水にいれて浸透し、窒素・リン・有機物がどれくらい浸出するか実験。その結果、ヨシ流出による栄養塩流入負荷は、溶出したものだけでもヨシ原1平方メートルあたり全窒素で0.44g、全リンで0.32gと見積もられた。

(感想)ヨシに水質浄化機能があるとした報告の大部分が枯死後の物質の行方を議論していなかったのですが、ようやく「枯れれば負荷」という観点からの報告がでてきました。

P-F04 遊泳用プール水中の消毒副生成物等に関する実態調査
循環ろ過式の遊泳用プールでは塩素消毒に起因する消毒副生成物がプール水中に残留・蓄積されている可能性を指摘した(http://www.tokyo-eiken.go.jp/assets/issue/journal/2010/pdf/01-40.pdf)。今回の調査により、水の交換頻度を高くすることで、濃度を低下できる可能性があることが分かった。

(感想)
消毒副生成物についてはVOC(トリハロメタンなど)が危ないと思っていたのですが、学校のプールなどは屋外ですから、VOCではなく塩素酸や臭素酸など、揮発しないものが貯まっていくというのは目から鱗でした。学校のプールはDPD法で残留塩素を確認するのですが、演者によりますと、残留塩素が過度にあっても発色しないので、ますます塩素をいれてしまう場合もあるそうです。特に幼児用プールで基準越えが見られているので、何らかの対策が必要だと思いました。