「僕たちの世界観はメディアによって作られる。だからメディアはとても大切。でもメディアは時おり間違える。そしてそのメディアを読んだり見たり聞いたりした人たちは、とても簡単にそれを信じ込む。つまり間違った世界観が、とても大量に作られる。メディアにはその危険性がある。ならば僕らはどうすればよいと思う?」
第1章の冒頭にある文章が、本書の概要になっています。
筆者はかつてテレビのニュースを作成していました。その経験をもとに、メディアとしてのテレビがいかに影響力が大きく人がだまされるのかを湾岸戦争などの実例を元に論じ、次に、中立と思われているニュースに恣意性が入り込まざるを得ない理由を説明しています。
ひとつの媒体からの情報だけで真実と思い込まないこと、そして、例えば「分かりやすい答えを教えてくれ」という願望が報道を歪めていくように、私たち次第でメディアは変わることを「どうすればよい?」の方向として提示しています。アサザを植えるとか、EM団子をまくことで水質浄化するとの運動が全国に広がってしまった背景にも、同じ構造があります。
息子が高校の頃に使っていた参考書等を処分するときに見つけた本です。おそらく高校で副読本として使われていたもので、とても読みやすく分かりやすく説明されています(ここまで分かりやすく書かないと、いわゆる進学高の高校生も読まないという参考にもなります)。
世界を信じるためのメソッド―ぼくらの時代のメディア・リテラシー (よりみちパン!セ)
- 作者: 森達也
- 出版社/メーカー: 理論社
- 発売日: 2006/12
- メディア: 単行本
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