アサザ基金のデタラメ環境教育

秋田県のホームページに「霞ヶ浦アサザプロジェクト出前授業イン・ハチロウキッズ 秋田県昭和町立大久保小学校における総合的な学習(環境学習)」が紹介されていました。
http://www.pref.akita.lg.jp/www/contents/1132105914938/index.html

この飯島氏の話を聞いた子供達は、粗朶消波堤を造って波あたりを弱くしたら八郎湖でも「霞ヶ浦のように」水草が復活して、そうなればアオコもなくなる、と考えてしまうでしょう。
事実は、霞ヶ浦では粗朶消波堤から流れ出た粗朶で岸がゴミの山になり、漁業被害が出ました。

河川環境総合研究所報告第11号、87ページより)

波あたりを弱くしたために湖底はヘドロ化し、アサザを植えても根付かなくなりました。

アサザ基金が植栽を行っていた根田地区の消波堤岸側。2008年以降、植栽しても育たなくなった)

そして霞ヶ浦では今でもアオコが発生しています。

(2012年8月の状態)
霞ヶ浦のこういった現状を知りながら、「霞ヶ浦の小学校では、アサザを育て、増えた水草を湖に植えに行ってます。そしたら霞ヶ浦の自然はだんだん良くなってきた。」などと話しています。

「沈水植物が繁茂する浅い湖沼は透明度が高い(=植物プランクトンが少ない)」とのSchefferの主張は仮説に過ぎません。そして宍道湖では沈水植物復活と同時に、アオコが頻発するようになりました。

(沈水植物とアオコが同時に繁茂している宍道湖湖岸。2012年8月)

水草は根から栄養をとりますから、富栄養状態の湖沼で水草が増えても、植物プランクトンと栄養の取り合いになりません。
ちなみに宍道湖の沈水植物が復活したところはコンクリートの堤防で囲まれていますし、消波施設も設置されていません。宍道湖はとても波が高い湖沼です。波当たりを弱めなくても、流入する除草剤が減れば沈水植物は復活することを、宍道湖の例が示していると考えています。
干拓前の八郎潟は日本で第2の面積の大きな湖で、漁獲や採草によって栄養が除去されていました。その水面を干拓して排水が生じる農地にし、さらには淡水化によって海水との交換を悪くしたこと、つまり負荷と閉鎖性の増大が水質悪化の主因でしょう。子供達に説明するのが難しい事かもしれませんが、分かりやすいからと言ってホラ話を教育するなど、言語道断です!

このデタラメ教育が行われたのは2006年と思われます。八郎湖では昨年、粗朶消波堤が造られていました。子供達から大人にデタラメが伝わったのかもしれません。
http://www.pref.akita.lg.jp/www/contents/1252981416825/index.html
お気の毒ですが、粗朶消波堤を作り水草を植えることが原因でアオコが減ることはありません。もしかしたら数年後に1年か2年、アオコが出ない年があるかもしれませんが、それは水温が上がらなかったなど別の原因によるものでしょう。厳しい自治体財政の中、人々の善意と税金が無駄に使われたことに、心底、憤りを感じます。全てはアサザ基金が原因でしょう。

お知り合いに秋田県の理科教育、環境教育に携わっている方がおられましたら、このブログの「アサザ基金の欺瞞」を参照するよう伝えて下さい。
霞ヶ浦では、アサザ基金の欺瞞である「粗朶消波堤」で、どれほど貴重な湖岸環境が失われたか。被害に遭うのは八郎湖で最後になって欲しいと思います。