チェルノブイリ原発事故の影響に関する論文を網羅した、資料集的な本です。
半分以上が人健康への影響です。1986年の事故以降、ざっと読んだところ2007年くらいまで追跡されていました。実に30年。福島原発事故の追跡も、これくらいされるのでしょうか(誰が?)
環境については、大気・土壌・水、植物、動物、微生物に分けて報告されていました。微生物について、事故以降1994年の調査まで、高濃度放射能汚染地域では狂犬病が皆無で、狂犬病ウイルスが死滅するか不活性化したためとありました。本当だとしたら、実に興味深い現象です。
ロシアだけでなくイギリスやアメリカなど、国外で事故の影響として報告されている論文も紹介されていて、被害がいかに広範囲に及んでいるかが分かります。それらの論文を引用している論文を孫引きしていけば、事故の影響について現在どう議論されているかが分かりますので、時間ができたらやってみようと思います。
引用している論文のリストは、膨大過ぎて本書には納められていませんが、下記リンクから見ることができます。
https://docs.google.com/document/d/1dZjLCLld4tC-YwtkS9duifDKDmWLAE30FUsyGuTaqdg/edit?usp=sharing
上記以外にも、訳者からの本書をどの章から読めばよいかの提案や用語解説、原文テキストが下記にリンクされています。
http://iwanami.co.jp/moreinfo/0238780/
- 作者: アレクセイ・V.ヤブロコフ,ヴァシリー・B.ネステレンコ,アレクセイ・V.ネステレンコ,ナタリヤ・E.プレオブラジェンスカヤ,星川淳,チェルノブイリ被害実態レポート翻訳チーム
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2013/04/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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