ネオコチノイド系殺虫剤

6月8・9日に開催された第22回日本臨床環境医学会学術集会の要旨集が届きました。ネオニコチノイド関係の発表が例年になく多かったようです。

平久美子先生の要旨は「日本人のネオコチノイド系殺虫剤への曝露は、すでに危険域に達している可能性がある。」で始まっていました。
木村−黒田純子先生の要旨も「近年使用量が急措しているネオニコチノイド系農薬は、ミツバチ大量死の要因であり、さらに生態系やヒ卜への影響が懸念されている。ネオニコチノイドの標的であるニコチン性アセチノレコリン受容体(nAChR)を介したアセチノレコリン伝達系は、単細胞生物から高等動物に至るまで、幅広い生物の重要な生理活性物質であるため、ネオニコチノイドはヒトを含み幅広い生物に影響を及ぼす可能性が高い。」で始まっていました。

そして黒田洋一郎先生の要旨は「いくつかのネオニコチノイド系農薬は全ゲノムについてその発現への影響をDNAマイクロアレイで調べると、多くのシナプス形成に関与する遺伝子群の発現をかく乱した(第15回日本環境ホルモン学会、本シンポジウム)。これらのデータは有機リン系およびネオニコチノイド系農薬が様々な発達障害の原因となる可能性を示している。」で終わっていました。(岩波の「科学」6月号でも「自閉症ADHDなど発達障害増加の原因としての環境化学物質──有機リン系ネオニコチノイド系農薬の危険性(上)」を掲載されています)。

ヨーロッパでは使用禁止に動いているネオニコチノイド系殺虫剤。日本での今後の対応が注目されます。