自然再生という名の自然破壊

知人の植物学者に霞ヶ浦アサザ植栽地をご案内したところ、「緑化という名の自然破壊ですね。」と言われました。梅樟忠夫氏が書かれた文章のタイトルだそうです。
「家畜がふえすぎていわゆる過放牧になり、その結果、砂漠化が進行しているようにいわれることがあるが、一部ではそういうこともあるかもしれない。しかし、砂漠の大部分は自然に砂漠なのであって、人為によって砂になったものとはおもわれない。サハラは自然としての砂漠であって、そこは砂漠であることが自然状態なのである。そこに植樹して砂漠を緑化するとすれば、それは自然としての砂漠を破壊する行為であって、緑化という名でおこなわれる自然破壊にほかならないとおもうが、いかがであろうか。」(みどりのトラストNo.15、1995)
霞ヶ浦宍道湖では、護岸工事によってアサザやヨシが減ったとして、砂浜だったところに消波堤を造ってそれらを植栽しました。そこが砂浜であるのは護岸工事のためでなく波が高いからであることは、消波堤を造らないと植えた植物が流されてしまうことからも明らかだったはずでした。証拠もないのに護岸工事によって植生が減ったのだと主張したのは、生態学者でした。彼らがこういった「自然再生という名の自然破壊」を反省し、過ちを自ら正さない限り、地元の方々の生態学者に対する不信は、ますます広がっていくでしょう。大学に移って霞ヶ浦宍道湖で起こっていることを公に批判はじめて7年になります。残念ながら生態学関係者からは、どうして間違ってしまったのか検証する動きは全くありません。