科学研究におきている利益相反問題

今夜のNHKクローズアップ現代」では「疑惑の薬 〜論文データ操作の闇〜」で高血圧薬「ディオバン」臨床試験に関わるデータ操作疑惑が取り上げられていました。
http://www.nhk.or.jp/gendai-blog/100/163432.html
たまたま今日読んでいてた日経サイエンス8月号「医薬研究は公正か?」でも、これは日本以上にひどいかも。。。と思わせる状況が紹介されていました。
http://www.nikkei-science.com/201308_066.html
例えば、製薬会社が草稿を用意し、研究者に謝礼金を払って、著者として査読付き学術誌に載せてもらうとか。2009年にCancer誌に発表された研究では、論文の著者に利益相反がある場合、相反の無いクリーンな著者よりも被験者の生存期間がなぜか長いという例もありました。極めつけは「1998年にNew England Journal of Medicine誌に発表された研究では、カルシウムチャネル遮断薬の安全性に関する研究者の結論と、薬の製造会社との金銭的関係に『強い相関』がある」
アメリカでは研究助成を行っている行政組織であるNIHも、研究者の利益相反への対応は消極的だそうです。
どうすれば解決できるのか、筆者は「査読付き論文の出版元はバイアスのかかった論文を通すことで信用を落とすことを嫌うはずで、学会を介して研究者自身が圧力をかけることができるはずだ」としていました。その一方で、ある学会誌の編集長は、製薬会社との癒着について筆者が批判している人物であるとの文章で終わっていました。つまり、製薬会社と結びつくことで成功してきた研究者がその勢力で学会誌も牛耳ってしまうために、学会の自浄作用も期待できないということでしょうか。