湖岸環境の植栽による「自然再生」

一見、何の変哲もない空き地になぜ人だかりができているかというと、

この湿地にはナガバノイシモチソウとか、

ゴマクサとか、絶滅のおそれがある希少種が自生しているからです。

こういった植物は、植栽して増えるものではありません。人にできる保全対策は、この湿地がヨシとかオギばっかりにならないように、刈り取りや火入れなどの攪乱をして、希少種が生き残れる環境を整えることです。

自然再生としてヨシを植栽し、そのまま放置してもこういった植物が存続するものではありません。アサザやヨシなどを植えっぱなしにすることで自然を再生させると称した事業が行われた霞ヶ浦には、人による管理(火入れなど)によって残ってきた希少種が住むヨシ原があります。しかし火入れや刈り取りが行われなくなって、それらの希少種は消滅する危険が増しています。

霞ヶ浦では残っている稀少種の保全よりもアサザ植栽事業、そして宍道湖ではヨシ「再生」事業に巨額が費やされました。それらの事業を提唱したのは「公共事業によって自然が破壊された」と批判していた学者です。彼らに共通しているのは、現場をほとんど見ていないということでした。こういう研究者が煽動した再生事業と称する事業で、貴重な湖岸生態系が破壊されました。肩書きに惑わされず、胡散臭さに敏感になりましょう。