アサザという植物は、適した環境では急速に繁茂域を拡大し、湖底を闇にし、有機汚濁も招きます。この植物によって沈水植物が駆逐され、霞ヶ浦のように種多様性を減じ、湖沼の経済的価値さえ損なう(アサザ植栽をしたところは、ヘドロ底になっている)事態が拡大するのではと危惧していたところ、スウェーデンで案の定の報告がありました。「はじめに」の部分で
The floating-leaved species Nymphoides peltata was introduced in Sweden at the end of the 19th century and is now considered as a threat to biological diversity and economic value of Swedish freshwaters (Larson andWillen, 2006).
と紹介し、この論文では沈水植物とアサザの相互関係を調べています。結果はアサザの一人勝ち。書誌情報は下記です。
Larson (2007)Growth of three submerged plants below different densities of Nymphoides peltata (S. G. Gmel.) Kuntze. Aquatic Botany, 86, 280-284
アサザは近いうちに、世界の侵略的外来種にリストアップされるかもしれません。既に国内でもアサザの異常繁茂により、魚や水生昆虫、貝が住みづらい環境になり、駆除活動をしているところもあります。霞ヶ浦のように、もともとなかったところの自然の波浪を抑えてまで、植えるべき植物ではありません(因みに、某団体は日本で霞ヶ浦にしか2花型がないから保全すべきと主張していますが、他の場所できちんと調べていなかったからというだけで、他にも2花型あるところは存在します)。
科学的素養が皆無で宣伝だけに長けた某団体の主張を鵜呑みにしていると、水環境は必ず悪化します。某団体の主張を信じる前に、現実の霞ヶ浦をご覧ください。アサザが勝手に繁茂域を増やしている様子や(Wikipediaには水位操作で減っていると書かれていますが、事実無根です)、消波堤の内側のヘドロ、きれいな砂浜だったところがセイタカアワダチソウとクズで覆われている様子がご覧になれます。