タナゴってどんな魚?

1月19日付記事で、タナゴが生息するには住み場所としての水草、産卵場所としての二枚貝、餌としての動物プランクトンが必要だから、タナゴの復活こそ自然再生のシンボルとなり得ると紹介しました。百聞は一見にしかず、わかりやすく解説したイラストが安成斉さんの「箱庭動物園」でご覧になれます。「箱庭動物園」には虫や鳥に関する興味深い解説もあります。
http://hakozoo.blog94.fc2.com/blog-entry-63.html
そこにもありますように、タナゴが産卵する淡水性二枚貝は、ヨシノボリなどの魚にひっついて上流側にたどりつきます。なので、そういった魚もいてくれないと、タナゴは生息できなくなります。タナゴが生きていくには多くの動植物が結びついた生態系が必要なのです。
イシガイなどのタナゴが産卵する淡水性二枚貝水草同様、どんどん減っています。主な原因のひとつが、農業用水路のコンクリート3面張りです。当然ですよね。コンクリート二枚貝は潜れませんから。。。
アサザなどの水草が減った理由の最たる原因も、大きな川や湖沼での護岸工事ではなく、人間が入ってくる前の湿地に似た状態だった田んぼに除草剤がまかれ、ゆるやかな流れに似た用水路が3面張りになったことでしょう。実際、アサザの産地として「琵琶湖」と書かれているのは湖内ではなく、周辺の用水路です。3面張りではない、底に土がある用水路では、数週間に一度根こそぎにしてもアサザがすぐに埋め尽くすほど繁茂しています。
人間が入ってくる前の湿地や小さな流れは、干上がったり洪水を受けたりの攪乱があるので、特定の水草が繁茂を続けてヘドロ化することはありませんでした。人間がそのような湿地を田んぼと水路にし、草刈りやどぶさらいなど定期的に攪乱することによって、湿地を本来の生息地にしていた様々な生物が田んぼで生き延びることができたのでしょう。タナゴを取り戻すためには、植えた水草を適宜刈りとったり、池干しをしたりなどの手入れ(=攪乱)が欠かせないことからも、自然再生とはどういうことか知ることができます。