NHKはなぜ佐村河内守氏に騙されたのか?

回答:事実を伝えることより、美談を作ることを重視したから。
NHKは「魂の旋律〜音を失った作曲家〜」を放映していたのですが、「NHKは本当にだまされたのか」とのブログ記事では、「Nスペは放送までに100人近くが試写を見るので、誰も気づかないということは考えられない。」と指摘しています。
このブログでお伝えしているように、NHK教育番組は霞ヶ浦環境保全に関連して、「アサザ基金の飯島氏の努力により、霞ヶ浦の自然が再生された」との事実無根の美談を流し続けています。
http://www.nhk.or.jp/doutoku/documentary/teacher/2011_003_01_plan.html
番組の制作担当者は事前に私と、かつて飯島氏とアサザ植栽事業を進めていた研究者に、アサザ植栽は自然再生ではないとの見解もあるがどうなのかと尋ねていました。もちろん二人とも、アサザ植栽は問題があると答えました。また私は、霞ヶ浦では多くの住民が自然再生・環境改善に努力していること、飯島氏はそういった団体と敵対してきたことを伝え、「飯島氏だけ取材して番組を作らないでください」とお願いしました。
にも関わらずNHKは、アサザ植栽を自然再生だと認めている科学者はいないのに、「自然を再生する人の輪」という番組を作ってしまいました。
放映後、私は何度もNHKに抗議しました。しかし回答は「自然を再生したかどうかではなく、人がつながることの大切さを伝えた番組です。」の一点張り。実際は住民と敵対しているのですから、つながってもいないのですが。先日も住民団体の前で県の委員を罵倒し、苦笑を買っていたそうです。
NHK自身が過去に、アサザ植栽に疑問を呈する報告をしています。
http://d.hatena.ne.jp/Limnology/20130803
内外で放映内容が事実と異なることが指摘されているのに、美談を作るために敢えて事実には目をつぶる。こういった体質が教育番組だけではないことが、今回の失態で明らかになったと思います。
長良川河口堰が社会問題になっていた頃、担当していたNHKの記者さんは二次情報に頼らない(自ら現場で取材する)、対立する双方に予見なく取材する、を徹底していました。もう引退されているであろうあの方はきっと、今のNHKをさぞ情けなく思っていることでしょう。