睡眠指針の見直し

24日のNHKニュースで、厚生労働省が睡眠の指針を見直したと報道されていました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140324/k10013202551000.html
適切な睡眠時間について、25歳はおよそ7時間、45歳はおよそ6時間半、65歳はおよそ6時間と、個人差はあるものの年齢とともに短くなっています。
このニュースを聞いて、日経サイエンス11月号の記事を思い出しました(タイトル:眠りが刈り込む余計な記憶)。その記事は睡眠の役割として、「睡眠はシナプスを弱めることによって、脳細胞が日常経験によって過飽和になったり、エネルギーを消費しすぎたりするのを防いでいる可能性がある。」としていました。年齢とともに必要な睡眠時間が減るのだとしたら、年齢とともに脳細胞をあまり使わなくなるから、と説明できるかもしれません。だとすると、高齢者であっても脳を積極的に使っている方は、もう少し眠った方がよいのかもしれません。
関連して上記記事では、実は脳の一部が眠っているのに、本人は眠っているのに気づかない「局所睡眠」がラットだけでなくヒトの脳でも集中的な学習の後には頻繁にあるとして、「あまりにも長時間目覚めていたり、特定の神経回路を酷使したりすると、脳の一部が予告なしに短い昼寝をとるようだ。一体どれだけ多くの判断の誤りや、ばかげたミス、イライラした反応、粗野な言動が、自分が完全に目覚めていて冷静沈着だと思い込んでいる疲れ果てた人の脳の局所睡眠に起因しているのだろうか。」と書いています。
私自身は論文を書いていても集中力が続かない方で、学生さんが修論を書いているときも、「寝る間を惜しんで、なんてことはしない方がいいよ。」と言ってました。眠りに関する脳科学は未解明なことが多く、これからもいろんな説がでてくると思います。上記ニュースで「自分は眠り過ぎかな?」と心配するよりも、それだけ脳を使っていると思って、自分が一番調子がよいと感じる睡眠時間にするのがよいと思います。

追伸
日経サイエンス11月号の記事では、「混血で勝ち残った人類」もおもしろかったです。現世人類の起源はアフリカにいた単一の集団にさかのぼれるのではなく、ヨーロッパやアジアに広がる複数の集団にまたがっていた、というものです。