下の写真はノウルシです。
霞ヶ浦には妙義の鼻という所に広大なヨシ原があり、そこでは下の写真のようにヨシ原の縁に分布します。
霞ヶ浦の湖岸では「ヨシ原の再生」として消波堤を造ったり客土して植えたりなどしていますが、そのヨシ帯の縁にノウルシは生えていません。ではどこに生えているかというと、堤防の湖岸側ではなく、反対側です。かつてはこのあたりにヨシ原の縁があったことを示すと考えられます。
霞ヶ浦では湖岸のヨシの根元がいたるところで浸食しているのですが、それは護岸工事のためではなく、もともと霞ヶ浦では波があたるような所にヨシは広がっていなかったからだと思います。明治時代に作られた地図では砂浜となっている湖岸に、現在はヨシや柳が分布していることも、そう考える理由です。
ヨシ原の「再生」とは、ヨシによる緑化事業なのか、かつてあったヨシを優占種とする多様な植物群を再生するのか、どちらでしょうか。もし後者なら、湖岸の水際にヨシを維持しようとする事業は再検討が必要ではないかと思います。