十勝川での自然保全・再生

十勝川下流のかつての氾濫原は農地に整備され、ところどころ池が残されています。それらの池が用水路で連結することで、かつて氾濫でつながっていたようなつながりの一部が維持され、魚類の多様性が保持されているそうです。下の写真で、向こう側の高まりが十勝川の堤防です。

このあたりはタンチョウも多く見られ、そのうち餌が足りなくなる可能性が高いそうです。実際、目の前でタンチョウの親子が歩いていてビックリしました。一方で放棄農地も増える見込みであることから、かつて氾濫原だった農地を湿地に戻して鳥の餌が確保することも視野にいれるべきとの説明でした。

農地を元の湿地に戻して減ってしまった野鳥を増やすという試みには、大いに賛同します。一方で霞ヶ浦でのアサザやヨシ植栽のように、もともと砂浜だったところに「護岸工事で植生が減った」などと事実に反する主張をして緑化工事をするのは、自然再生どころか、自然破壊の上塗りでしかありません。霞ヶ浦でも、高度経済成長や護岸工事前にヨシや浮葉植物群落がまとまってあったのは、今は干拓され農地になっているところです。そこを湿地に戻せと主張するならまだしも。。。
一口で生態学者と言っても、ちゃんと地形を見ているかどうかで、科学的な信頼性には雲泥の差があると常々感じています。