タナゴを知る・見る・飼う

1月19日付記事で、タナゴが生息するには住み場所としての水草、産卵場所としての二枚貝、餌としての動物プランクトンが必要だから、タナゴの復活こそ自然再生のシンボルとなり得ると紹介しました。でも多くの方達はタナゴを見たこともないでしょうし、どこに行けば見つかるかも分からないでしょう。
そんなタナゴ初心者のバイブルになるのが、この本。
Part1「知る」はわずか7ページなので、さっと読めます。3部構成で、冒頭に以下のように分かりやすい概要が記されているので、何がポイントか頭に残りやすいです。
・タナゴ類って、どんな魚?→水田と深いかかわりをもち、古くから里の暮らしのなかで広く親しまれてきた淡水魚です。
・どんなところに棲んでいるの?→人の手が入った水田生態系ネットワークに組み込まれ、地域によって異なる種が見られます。
・タナゴ類を楽しむには→熱帯魚のように購入することも可能ですが、フィールドに出て自ら採集することでより理解が深まります。
Part2「見る」は日本で見られるタナゴ類の写真図鑑になっていて、章末に種類の決め方がチャートで示されています。嬉しいことに、これらタナゴ類の動画がDVDになっていて、それぞれの動き方の違いも観察できます。
Part3「飼う」は飼育・繁殖の方法が分かりやすく丁寧に記されています。「広い視野で釣りだけではなく自然環境もよく観察してみよう」「産卵に必須の二枚貝も貴重な生き物。入手と利用には気を遣いたい」と各ポイントのタイトルに書かれているように、生態系を保全する上で何が大切なのか、過不足なく記されています。
水辺の再生に関心を持つ大人だけではなく、小中学校での環境教育の教材としても、広く活用できる優れた内容だと思います。

タナゴを知る・見る・飼う (別冊つり人 Vol. 380)

タナゴを知る・見る・飼う (別冊つり人 Vol. 380)