日本の淡水域で普通に見られる植物プランクトン・動物プランクトンが写真で掲載されています。どの仲間か見当をつけるために、植物プランクトンと動物プランクトンのよくある形が見開きのカラー図で勢揃いしています。植物プランクトンはラン藻、珪藻、鞭毛藻類、緑藻、動物プランクトンは節足動物、ワムシ、原生動物です。この中のどれに似ているか決めたら、その仲間のページに行きます。ここでも最初に見開きのページで、主な種類がカラー写真で大きく仲間分けされて掲載されています。例えば原生動物のページでは、アメーバ、太陽虫、鞭毛虫、繊毛虫に仲間分けされて写真が並んでいます。これに似ていると思ったら、詳細な解説ページに進みます。このように、顕微鏡を覗きながら、絵合わせで種類を決めることができるのが本書の大きなメリットだと思います。これまでの図鑑で種名決めようとすると、大部分において、シロウトではまず分からない専門用語で、どこがどうなっているかを見るように文章で指導していたからです。
理工系の息子(大学4年)、文系の娘(高校3年)を育てた経験から、この図鑑を使えるのは高校生以上で、生物に関心を持っているお子様かと思います。中学・高校の先生で、科学部などで生徒指導しなければならない場合には、とても役立つでしょう。小学校の先生は、ここに書いていることを児童に説明するのが、ちょっとしんどいかもしれません。児童が取ってきた生物が、だいたいどの仲間かを説明するのには利用できます。
パックテストなどで、おなじように見える水が全く水質が違うことを色で見分けるのもわくわくすることですが、ゴミにしか見えない水中のツブツブが、想像を絶する多様な形をした生き物達であることを発見するのも、子供達の環境観形成にきっと役立つことだと思います。水界における生態系とか自然再生が、目に見えるきれいな花だけで一般に語られる弊害が起きていますから。
- 作者: 一瀬諭,滋賀県琵琶湖環境科学研究センター,若林徹哉,滋賀の理科教材研究委員会
- 出版社/メーカー: 合同出版
- 発売日: 2008/10/01
- メディア: 単行本
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