湖と研究〜諏訪湖から

昨日は諏訪湖日帰り出張でした。
諏訪湖については、拙著「貧酸素水塊」執筆の際に湖岸の水草帯が浚渫されたことなど、多少は調べていたつもりでした。しかし諏訪湖霞ヶ浦同様、深さ10mもの矢板(鉄の板)を二重に埋めて、湖岸堤防にしていたことは知りませんでした。また、最近ヒシが増えて来たことに関連して「1991年以降に流入河川や湖岸で工事していませんか?」とお尋ねしていたのですが、実際、そういった工事が行われていたことが分かりました。
諏訪湖と言えば、日本の湖沼学を樹立した田中阿歌麿先生や、陸水学会設立に貢献された吉村信吉先生(殉職されたのも諏訪湖)など、日本でも過去から研究の蓄積がある有数の湖沼です。今では名称が変わっていますが臨湖実験所もあって、故・西條八束先生は「陸水学が残るとしたらここだと思った。」と、蔵書の半分を臨湖実験所に送ったと言われてました(残り半分は、私が大学に移ったことから、私に寄贈下さいました)。
にもかかわらず、陸水学・総合湖沼学からの知見が大規模工事にいかされていなかったことは、本当に残念です。陸水学会企画委員会で取り組んでいただいている義務教育への陸水学の浸透や、水環境学会身近な生活環境部会で取り組んでいただいている水環境リテラシーなど、個別の研究以上に緊張感を持って対処しないといけないのかもしれないと思いました。