農薬が人の脳に与える影響

環境ホルモン学会ニュースレター17(4)(PDFはパスワードが必要)に、農薬使用が人の脳に影響する可能性を示唆する記事がありました。
ひとつは、他の農薬と比べてほ乳類への影響が小さいと考えられてきたネオニコチノイド系農薬がラットに与える影響を調べたものです。報告によると幼若期の投与により、記憶異常と不安関連行動異常が誘発されるとのことでした。
別の報告で、国別の発達障害の有病率を示した論文(下記)によると韓国が1位、日本が2位とのことでした。そして単位面積当たりの農薬使用量も韓国が1位、日本が2位なんだそうです。
日本人はかなりの割合いで健康に気を遣っていると思うのですが、農薬には無頓着な人が多いです。また生態学者のかなりの割合が自然環境の保全を願っているはずですが、生態系に与える農薬の影響を研究する保全生態学者は皆無に近いと思います。
なぜ日本人の多くが農薬に対して健康や保全に気を遣っていても無関心でいられるのか、とても不思議です。

Elsabbagh et al. (2012) Autism Res., 5, 160-179.