宍道湖におけるツツイトモの拡大

宍道湖漁協のK様から、近況のご連絡をいただきました。心配していた塩分も上昇し、シジミの産卵も順調に行われているようです。それくらいの塩分を保っているためか、今年はオオササエビモよりもツツイトモの方が多く感じられ、特にツツイトモが水深3m台のところまで生え出したそうです。
流域での除草剤使用が減ると水草の大量繁茂による悪影響が懸念されることから、以前に私は大量繁茂しやすい水草の塩分範囲を調べたことがあります(陸水学雑誌75、113ー118)。その中でツツイトモは塩分範囲を特定できる文献がなかったのですが、6PSUくらいまでは生えそうだと思われました。
そのツツイトモは、いまのところ宍道湖では、オオササエビモのように、浮葉植物のように水面を覆っているところはないそうです。しかし河川では下の写真のように、水面まで覆ってしまっています。こうなると魚や貝などの生息がおびやかされかねなくなります。

(撮影:宍道湖漁協K様)
K様からは、「漁師さんの話では、オオササエビモの方がツツイトモよりも下のシジミを掻きやすいのに対し、ツツイトモは細く密生するので爪の先に絡まってしまい、シジミがより掻きにくいそうです。」との情報が寄せられています。人が持続的に利用しながらアオコなどカタストロフィックなイベントを防止する上で塩分をどうするかは、避けて通れない課題ですが、こういった観点も情報として重要かと思います。