温故知新

陸水学会が誕生した1931年頃は、陸水学関係の論文発表が飛躍的に増大した時期でした。また日本全国の湖沼を対象にした包括的な研究が展開され、それが総合湖沼学という概念に収束した時期でもありました。
山室(2007)は当時の状況を推察した上で、「陸水学会は個別の専門において流行のテーマではないこと、手法がその分野の最先端ではないことがあっても否定的に捉えるのではなく、年配の研究者が不備を補い、他分野での議論を積極的に後押しするような学会であったし、これからもそうあるのだろう。」と書いています(陸水学雑誌68:269-314)。
山室(2007)が45ページにもなるのは、陸水学会設立に尽力された吉村信吉先生による「日本湖沼学文献目録I」が再掲載されているからです。この機会に再度、日本の陸水学がたどってきた道のりを確認し、未来の方向を考えようと思います。