駒崎弘樹「社会を変えたい人のためのソーシャルビジネス入門」

Amazonでは「社会を変えたいと願うすべての人、必読!」とありますが、事業拡大における留意点(たとえば、利益が安定するまでは事業を広げない、とか)や、世代交代(非創業期メンバーが創業期メンバーを超えるようになったとき)に伴って起こりがちな状況とその対策など、営利企業の設立・運営にも役立つ蘊蓄が満載されています。むしろ下手な起業家本よりも、営利企業の起業に役立つ本ではないかと思われます。
さらに言うとNPOにはボランティアの協力が大きいことから、ボランティアにどうやって満足な仕事をしてもらい、かつ、次のボランティアにどう引き継いでいくかについても工夫が紹介されています。これは、毎年シロウトの学生が入学し、そのシロウト学生を上級生がボランティアで研究室のノーハウを伝えることで研究が継続する大学の研究室運営にも、必須事項です。
新書版252ページとボリュームはそれほど多くなく、かつ軽妙な筆致に引き込まれて、1時間強で読めてしまいました。講師以上のテニュアに初めてなって、研究室運営を始めることになった若手にとって、立ち読みして損は無い本だと思います(私は将来の起業に備えて購入しました)。