初心者は文献をたくさん読まない方がよい

免疫学者のピーター・メダウォー氏の著書「若き科学者へ」(みすず書房)に下記が書かれているそうです。
「初心者は文献を読まねばならない。しかし、意図的に、選択的に、かつ多すぎずにである。若い研究者がいつも図書室で雑誌の上に背をかがめているのより悲しい光景はない。」
実験系であれば実験室、フィールド系であれば現場で自ら事実を見いだす作業が最も重要ということでしょう。
他人が書いた情報よりも、自分が現場で見いだした事実を重視する姿勢は、理系の研究だけでなく、実社会を生きていく上でも重要なスキルだと思います。
その為には、自分が事実を見いだした過程に自信が持てるよう、自分は常に合理的な思考を保っていると自負できるくらい、自分に対しても合理的な批判を無意識に行っている必要があるでしょう。
逆に日常の言動に合理性がない人間(例えば学生には研究者倫理を説きながら、同僚教員の倫理の逸脱は隠匿したり、その隠蔽を見て見ぬふりをする教員)は、肩書きや業績リストにかかわらず、その学問も胡散臭いと用心した方がよいでしょう。
若手研究者がポスドクで雇用されたときなど、この考え方でその職場にいるべきかどうか判断するとよいと思います。そういった職場の教員達は、研究者の間からの評価(国内はともかく国際的に)は低いと考えてよいでしょうし、研究の内容で合理的に昇進できることも期待できませんから。

若き科学者へ【新版】

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