不正を隠蔽するような専攻では殺される可能性もある

2月3日発売の「週刊金曜日」に、1月28日付記事で紹介した広島大学でのパワハラについての続報「助教ががん死した原因に強いられた被曝が浮上」が掲載されていました。
業績水増し疑惑のあるH教授が所属する広島大学原爆放射線医科学研究所は、過去にも怪しい事件が続発していました。2005年には汚職事件で教授が1名自殺、2006年には当時の所長が放射線障害防止法違反事件を起こし、そのときに被曝した一部の方が若くしてガンで急逝(その元所長は、今は広大副学長)。2009年には教授による研究費の不正使用事件、2010年には先述の放射線障害防止法違反事件を起こした教授が部下の助教の居室を放射線管理区域内に設置、この助教は2012年にガンで急逝。
ここまで不祥事のオンパレードでも、この組織はつぶれないのです。一般の方には信じられないでしょうけど、外部から強制されない限り、大学というのはどれほど不祥事を起こそうと自らそれを正そうとしません。これは広大に限らず、東大もしかり。私がハラスメントとヒ素・水銀などの毒物劇物の不正管理を内部告発した東大の自然環境学専攻でも、私が赴任した2007年以降だけで、2名が女子学生に対するセクハラで処分を受け、1名が入試漏洩で処分されていますが、露見したきっかけは学生に対するセクハラと聞いています。私が告発したのをいれれば、2007年から2013名までの6年で4名もの教員が学生にハラスメントを行っているのに、この専攻では改善策が話し合われたことは一切ありません。それどころか、セクハラが確定した教授を名誉教授に推薦しないことを決めた教授会で「でもあれは、女子学生が誘うようなことをするから悪いんですよ。」と某教授(私の内部通報に対して『誹謗捏造を撤回し謝罪するまで学生指導をさせない。』と決めた元専攻長)が暴言を放っていました。裁判でクロになったから東大でも処分されたのに、です。しかも女性である私がいる会議でこういうことを平然と話し、誰もそれを注意しない教授達に寒気を覚えたものでした。
ですので1月28日付記事で提案したように、大学の不正を通報できる第三者機関が絶対に必要です。そうでないと、みなさまのお子様が大学に入ったときに、ハラスメントによって人生が滅茶苦茶にされても、最悪自殺してしまっても、泣き寝入りしかできないことになります。実際、自然環境学専攻でハラスメントにあっていた学生は、精神的にかなり追い詰められていました。当時私は、まさか教員が原因と思っていなかったので、「○君については気をつけてくださいね。」と指導教員だったその教員に言ったところ、「彼はもともと精神不安定なところがあるので。」としゃあしゃあと答えていました。その頃、その学生の母親は心配で彼のアパートにしばらく泊まっていたと、後日知りました。万が一彼が自殺していたら、本人の資質のせいにしたに違いありません。
そして学生のみなさんは、ネットなどで少しでも黒い噂のある専攻に進学するのは避けましょう。広大の例で分かるように、何かひとつ不祥事があるところは、その内容と対策を開示していない限り、氷山の一角である可能性が高いからです。
三者機関ができるには、被害の実態が世間に周知されることが必要です。私のブログを読んだハラスメントにあっている学生さんから、アドバイスを求めるメールが届いています。その方達には、絶対に学内の機関に相談するなと、私の学生が相談してどんな目に遭ったか伝えています。そして、録音・録画など動かぬ証拠を集めて、警察や弁護士に相談するよう勧めています。こうしてハラスメントに遭った方達の被害が隠蔽されずに世間に知られるようになれば、私が提案しているような第三者機関が実現するだろうと思っています。