石黒 耀「死都日本」

地理の講義でAT、Ah火山灰がどれほど厚く日本を覆ったか聞いたときにゾッとして想像した、まさにその状況がリアルな小説になっていて驚きました。日本はどういう所にある国なのか、本当は地学を高校まで必修にして国民全員が知っていなければならないと思うのですが、とりあえずは全ての官僚と政治家に読んでいただきたいと思いました。
ただし、地学の講義を全く聴いたことがない人が読んでも、意味不明な文章が3分の1くらいあって、私のように鳥肌が立ちながら読む、という感じにはならないと思います。そういった方には主人公の噴火後の逃走経路やその状況を画像で解説したサイト「画像でたどる死都日本 - 日本火山の会」が多少は参考になるかもしれません。また「カグツチ」というコミックにもなっているそうですが(Wikipediaより)、原作の主人公に息子がいたという想定で、その息子が主人公になっています。また原作では政府が噴火対策を事前に行っていたのに対し、コミックでは無策のまま噴火を迎え、3ヶ月後には日本の備蓄食糧が尽きる予想が語られて終わるようです。
これについては原作の方が非現実的だと私は感じていて、むしろコミックのように無策のまま1億餓死、があり得る未来図ではないかと思います。原作では選挙で自民党が敗北し、革新政党の党首がすぐに噴火準備を始めた想定になっています。私にとって日本で起こった二大天災は阪神・淡路大震災東日本大震災ですが、これらは「死都日本」同様、政権交代中に起こっています。そして当時の政権の対応はどうだったでしょう?

死都日本 (講談社文庫)

死都日本 (講談社文庫)