分子細胞生物学研究所はトカゲの尻尾切り?

日経サイエンス2017年10月号に「東大の研究不正 対応に温度差 分生研と医学研究科で、調査の姿勢に差が目立つ」との記事が掲載されていました。A4サイズ2ページとすぐに読める記事なので、関心のある方は是非ご覧ください。
以下はその一部です。
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医学研究科の5研究室の論文について指摘された疑義は,主にグラフに関するものだった。告発者は論文のPDFファイルカ、らグラフのベクトルデータ(各点の位置を数字で示したもの)を読み出し,データの数値を再現して,不自然な点を指摘した。またグラフの作成法を解析し, 実際の実験を反映していない恐れがあるとした。
医学系研究科部局内調査班長の仁科博史・東京医科歯科合大学教授によると,論文著者らに確認を求めたところ,ほとんどの著者が,再現されたデータや論文のグラフに指摘された事実があったことを認めた。だがそれらは, 実験で得られたオリジナルデータとは異なると回答した。つまり,論文に掲載されたグラフは,必ずしもデータを正しく反映していなかったことになる。
大半の実験には実験ノートや生データが残っていたが,調査班は,なかったものについても関連の実験の記録などから「論文の内容に近い実験が行われていることを確認し」,「実験は実施されたものと認められ,担造はない」とした。またグラフの不自然さは手作業でトレースした際のずれや作画ソフトの仕様によるもので, 再現データの異常な値は入力ミス等による不注意と認定。すべてのグラフについて「改霞はない」と結論づけた。
だが,実験が実施されていたことと捏造がないことは,イコールではない。