ガバナンス崩壊の東京大学に必要な「公正」

原題は「『ガバナンス』崩壊の『国立大学』に必要な『公正』と『自立』」。BLOGOSに掲載された東大医学部卒・上昌広氏の文章からです。
http://blogos.com/article/246447/
この文章で上氏は、腐敗の典型として東大医学部を挙げています。
上氏の問題意識も、私と同じです。彼が敢えて母校を批判するのは、東大で不正が横行することが、日本の科学全体の凋落に直結するからです。
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このような状態が続けば、日本の科学は停滞する。既に、その徴候はでている。科学技術・学術政策研究所によると、日本の注目度が高い論文数のシェアは、2003〜2005年に世界の8.0%から、2013〜2015年には4.7%に減少した。順位は米国につぐ2位から、中国、ドイツに追い抜かれて4位となった。
大学関係者からは「もっと研究費を増やせ。もっと運営費交付金を増やせ」という要望が相次ぐが、そんなことをしても無駄だ。経済成長著しい中国並みに日本の研究費を増やすことは出来ないし、ガバナンスが欠如した組織に資源を投下しても、活用出来るはずがない。
(上氏のBLOGOS掲載文章より)
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9月6日記事で引用した下記Yahooニュースでは、東大の世界大学ランキング下落の原因は研究費の減少としていましたが、上氏は研究費が原因ではないと断言しています。この点も私と全く同じです。
https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20170905-00075394/
ではどうすれば東大が「公正」になるのか。上氏は教員全員を有期雇用にし、再任には外部の評価もいれるとしていますが、私はそれではダメだと思います。「外部」と称して中でつながっている抜け道が至るところにあるからです。例えばコンプライアンス違反は「外部」に訴えて対応してもらえるよう広報されていますが、そこは窓口になるだけで、内容について対応するのは東大内部の人間だったりするのです。
どうすればいいのか、今のところ私には、自助努力で何とかなる道筋は全く見えていません。医学部に限らず、工学部に始まった学位取り消しなど、東大が急激にガタついているのは確かで、それが学生にも反映して、理工系では結構、実験に伴う事故が起こっているという噂もあります。今にあり得ないような事故を起こすなどして(流しに水銀やヒ素の廃液を流すよう指導する教員までいるくらいですから)、内部から崩壊するのが最もあり得ることではないかと思っています。大変残念ですけど。