訃報 濱谷巌先生

高校の恩師・濱谷巌先生の奥様から、喪中葉書が届きました。11月6日永眠、享年88歳。
8月に「論文を書くのにZoological Recordを見たいのだけれど。」とご相談があって、相変わらず研究に邁進されているご様子に安心していたところでした。
2月13日のブログで書いたように、自然を守るとはどういうことか、基本を教えてくださったのが濱谷先生でした。そもそも面接試験で先生が私に目をつけてくださっていなければ、50倍の狭き門だった大教大付属天王寺高校に受かることはなかったと思います。この高校に入って、先生が顧問をされている生物部で好きなように研究させてもらって、後鰓類(ウミウシの仲間)の研究者としては世界で5本の指に入ると言われた先生の影響もあって留学を思い立つことがなければ、私の人生は全く別なものになっていたと思います。
多くの弟子を育てられた先生ですが、Zoological Recordの相談を私にしてこられたということは、研究面で相談できる弟子として頼りにされているんだと嬉しく思っていました。でも、そういったことはご家族には伝わっていなかったらしく、お葬式にも行けなかったことが大変残念です。
先生とのやり取りは、10月に出版された拙著「沖縄の河川と湿地の底生動物」をお送りした時で最後となりました。先生のご専門だった形態分類学を、私が今でも大切に考えていることをお伝えできたのが、せめてもでした。これからも形態分類学の重要性を社会にきちんと伝えていくことで、先生のご恩に報いたいと思います。