たくましいシクラメンに思う

門の前の花壇には柊とミニバラを植えています。冬になると寂しいので2016年12月にシクラメンを植えました。
特にガーデンシクラメンと書かれていなかったので夏を過ごすのは無理かなと思っていましたが、2017年8月に咲き始めました。

そしてこちらが現在の写真。

8月以来ずっと咲き続けていたのですが、涼しくなるにつれて株も大きくなりました。左の黄色い矢印のところに新しい芽まで出ています。おそらく実生だと思われます。右側の別の株も、冬になって咲き始めました。どんな植物でも、環境があっていたら本当に何もしないでも増えていくことと、改めて思いました。
昨年亡くなった高校生物部の恩師・濱谷先生は、もし珍しいと思う植物があったら必ず採集して標本にしなさいと指導して下さいました。それが最後の1本だったら、君が採らないとそこにその植物があったことが誰にも知られずに消えていくことになる。植物というものは、環境が適していれば人が何もしないでも増えていくものだ。だからそれが最後の1本だとしたら、君が採らないでも消えていく運命にあるのだから、と。
私が日本で名の売れている植物保全生態学者にとても違和感を感じるのは、彼らのほとんどが標本を残す習慣を持っていないからです。特定の植物しか同定できず、かつその植物についても全国的にみてどこにどんな風に分布しているかの知見もないのに騒ぐのです。例えばアサザ霞ヶ浦でしか実生しないと騒いで、数十億円(もっと多いとの噂あり)も使って保全事業と称して湖岸環境を破壊したりとか。あんまりひどいので、アサザ霞ヶ浦でしか実生しないというのは、彼らが霞ヶ浦でしかまともに観察していなかったからであることが分かる論文を出しました(下記です)。

藤井 伸二・上杉 龍士・山室 真澄(2015)アサザの生育環境・花型・逸出状況と遺伝的多様性に関する追試, 保全生態学研究, 20, 71-85

このブログでも何度か書きましたが、アサザは住宅地の下水路とか、田んぼの中の用水路とか、そういった環境では抜いても抜いても生えてきます。大きな湖沼で波が高い霞ヶ浦は本来の生息地ではなく、護岸工事で船溜まりができたときに一時的に増えただけです。それが一時的な現象だということを地元の方も主張していたのに、権威をかさにきて科学的な検討を全くしなかったから、あんな馬鹿な「保全」事業になってしまったのです(その方々の、これが本当に科学者かと呆れるような非科学的な主張は新聞などに残っています)。
そんなアサザ保全事業を推進した方々が、今もまだ他の湖沼で荒唐無稽なことをやっていて、やれやれと思います。今の日本で湖沼環境を破壊する最大の原因は、この手の保全生態学者の非科学的主張です。なので、彼らの言うことは無視して、自分達で現場を観察して何をすべきか考えましょうという講演を、昨年は各地で行いました。今年もまだまだやらないとと思います。