地学の素養は科学リテラシーとして不可欠

冬学期に行った集中講義で末尾のレポート課題を出しました。どのレポートも私が伝えたかったことが反映されていて嬉しかったのですが、特に下記の文章には励まされました。
これからも機会を捉えては、地学の必修化を働きかけます。
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アサザの植栽プロジェクトに限定した話ではないが、科学者や教育者を含めた国民全体の科学リテラシーの欠如が環境問題に結びついている事例は、枚挙にいとまがない。科学者や教育者、はたまた一般市民の科学リテラシーの一翼を担っているのは義務教育であることは自明であり、その質を高めることは将来的な環境問題の潜在リスクを減少させることに直結するだろう。例えば、本授業でも紹介されていたが、地球科学の高等教育での必修化はその初歩的な施策であると考える。地球科学は物理学・化学・生物学の知見を総動員した総合科学であり、広範な知識のみならず深い考察力が必要とされる学問である。このような学問を学修させることで、科学的且つ多角的に自然現象を考察するきっかけを作ることができるだろう。私自身の専門は堆積学であるが、アサザの植栽における消波効果を耳にして直ぐにストークスの法則とユルストローム図を思い浮かべた。すなわち、消波すれば泥もしくは粘土の沈降が優勢となり、ヘドロの発生は容易に想像できる。このような発想は、全ての日本国民が高等学校で地球科学を修得していれば誰かしらが指摘できていた可能性がある。今後、行政が中心となって地球科学の教育が普及されていくことが期待される。

レポート課題
この講義では水資源環境に関する基本的な事項の解説とともに、研究要素(研究者、たとえば高度経済成長期以前の水環境を復元する方法、サンゴ礁二酸化炭素など)、施策上の問題(行政、たとえばCODの問題点と継続性の関係、塩素消毒など)、身近な環境や生活の問題(住民、たとえば水質浄化や自然再生活動など)を紹介しました。講義で解説した問題からひとつを選び、上記のどの立場からどの問題をどのように解決することができそうだと考えるか、記してください。