10年、20年先を見据えている人は、そこまで見えない人が9割以上を占めていますから、一般受けどころか、その分野の専門家からも無視されたり酷評されるものだと思っています。
小寺とき様はまさにそういった方で、1960年代から無農薬で野菜を作り、洗剤ではなく石けんで洗濯、果ては低温殺菌牛乳を酪農組合に作ってもらうという、今でもなかなか理解されないような最先端なことを主婦という立場で進めてこられました。そして彼女の主張を理解できたのは、たとえば当時の日本の乳業界のプロや日本の研究者ではなく、海外の研究者(牛乳は低温殺菌にすべきなのが当然なので)と日本の母親達だったということは、私にとって大きな教訓となっています。
こういった小寺様の人となりについて私が語ったビデオが下記にリンクされています。
http://webpark1489.sakura.ne.jp/docs/profile/video_images/video_07.html
一部の母親達は、我が子を合理的に観察して、極めて論理的な判断をしています。こういったお母さんパワーをいかして、研究者とWinWinの関係が築けないかと考えています。
たとえばお母さん個人とか、お母さんたちが関わっている生協などから「こういったことをわかりやすく教えてほしい」という問い合わせ受け付ける窓口を作ります。私でレビューして分かることなら、それを使って解説書を作るなり報告会を催します。
まだ世界で誰も研究してないと分かれば、こういった研究はまだないので援助してほしいとクラウドファンディングを募り、ある程度の額に達したら研究者を公募します。研究結果をお母さん達にも分かりやすく伝える冊子や報告会をすることを採択の要件とします。
そうやって世界初の成果が出れば、それをきっかけに対策法をクラウドファンディング寄付者と検討し、その実用化を次のクラウドファンディングで図ります。
こういったことが積み重なれば、最先端の知見や技術が次々生まれるよう仕組みになるのではないかと思っています。なぜなら、既にある技術でできることでも、ニーズがわからなくて製品になっていないことがしばしばあるからです。
例として私が30代の時に、某メーカーに水域で使用する内蔵メモリー式伝導度計の開発をお願いしました。それまでは外洋で小数点数桁の極く小さい違いを正確に測る装置が主流で、簡単で小さいけどアバウトな値しか出せないというものはありませんでした。メーカーにはこう伝えました。「精度は整数一桁でいいんです。河口とか内湾とか、そういった塩分の変化が激しいところで、私でも使える簡単なものがあったら、水産関係の需要で絶対に売れます!」
そして事実、その製品はその企業のヒット商品になったのでした。
こういった事業が、8年後に定年になったときまでに軌道に乗せたいと考えているもののひとつです。まだまだ叩き台なので、ご意見いただけたら幸いです。