昔は中海にもいたおいしい二枚貝

娘が1泊2日で帰省したので、昨夜は父と3人でなじみのお寿司屋さんで食事しました。
この季節は二枚貝が豊富で、8種類くらいいました。特においしそうに見えたトリガイ、ツブガイ、アオヤギ、アカガイ、それに滅多にみないホッキ貝を注文しました。

ホッキ貝はアカガイに外見は似ていますが、中身は全く違いました。それを言えば、これらはいずれも二枚貝で殻の形は基本的にそっくりですけど、中身はとても多様で見ていても楽しいです。
テニスの錦織選手の発言で一時品薄が続いたノドグロも、出回るようになったようです。価格も落ち着いたようで、ノドグロは1貫400円、ホッキの600円より安くて驚きました。
その錦織選手の出身地の島根県には、中海という汽水の湖があります。1923年の状況を記した文献によれば、その頃の中海では深い泥底でアオヤギやトリガイが豊富に採れていたそうです。富栄養化が進むと二枚貝の餌になる植物プランクトンが増えるので、お隣の宍道湖では酸素が豊富な砂底に住むシジミが増えました。しかし中海では鉛直混合しにくい泥底は、おそらく昔もアマモがいたので酸欠になりにくかったのだと思いますが、アマモが消滅したことと富栄養化による有機物の増加で、おいしい貝がいた泥底は常時酸欠するようになり、それらの貝は消滅しました。
一時シジミが激減した宍道湖ですが、今では回復し、減ったり増えたりする原因も分かっています。中海も、おいしい貝が減った原因は酸欠と分かっていたのですから、干拓が中止になったときに堤防を切るという愚挙をせずに、干拓用に設置していたポンプを使って干拓予定地の水位を少し下げてアマモが生えやすくするなどしていたら、今頃はおいしい貝が復活していたかもしれません。千載一遇のチャンスだったのに、とても残念です。
干拓堤防を開削して昔の地形に近づければ環境も元に戻るなどと嘘八百を並べ立てた科学者達を、私は心から軽蔑しています(科学者とみなしてません。単なるアジテーターです)。