こんなところでもラン藻ががんばっている

今回の調査には、陸水研でPDをやっていたT博士にも来てもらっています。彼女は南極湖沼での潜水調査を長らくやっていたので、「女性がダイビングなんてとんでもない!」と主張していた地元のT博士もOKを出してくれました。それどころか、「プロダイバーより彼女の目の方が確か」と、やたら彼女に潜るよう依頼するようになり、ちょっと彼女には大変かも。
その彼女が夕方潜っているときの湖面です。月の下の方にシベリア鉄道のトンネルが見えます。こんな急崖によく1900年代に鉄道を通したものだと驚きます。イタリア人技師が指揮したそうです。

ダイバーさんに後で聞いたら、この崖がそのまま水中に落ちていて、少し岸から離れると、あっというまに水深数百mになるそうです。
そんな環境にいる共生海綿の光合成活性をT博士が測ったところ、緑色をしていていかにも緑藻が多そうなのに、最も光合成活性が高いのはラン藻なんだそうです。
地形といい、光合成活性といい、私の仮説である「バイカル湖サンゴ礁同様、ラン藻がいたるところにいる」が正しいのではないかと思えてきました。ただしこの栄養塩濃度だと、サンゴ礁のように窒素固定が卓越している可能性は怪しくなってきました。