日本は環境後進国

昨日は柏キャンパスで開講している集中講義「水資源環境論」の最終日でした。私の持論である「水環境から見た場合、日本は少なくとも東アジアで最も環境後進国、そしておそらく世界一環境後進国」を披露し、理由を説明したところ、中国からの留学生さんも含めて納得したようでした。
水圏生態系が健全であるかは、陸上では食物連鎖の頂点にいるオオタカなどが保全対象として重視されるように、肉食の鳥がちゃんと生きているかで判断できます。
東アジア(日本、ロシア、中国、台湾、朝鮮、韓国)にはトキとコウノトリという大型肉食鳥が分布していました。このうちトキは中国以外では絶滅しました。理由は乱獲もありますが、農薬使用による餌の減少と言われています。日本ではさらにコウノトリまで、繁殖・周年生息する個体群が絶滅しました。
減少原因となった農薬について、今の日本の規制は他国と比べてどうなのか、たとえばネオニコチノイド農薬の規制を比べてみてください。
また日本ではかつて工場排水が原因で、水俣病という人類史上最悪レベルの公害病が発生しました。本来なら二度とこのような悲惨な過ちを繰り返さないように、世界でも最も厳格な排水規制を行うべきですが、実態はどうでしょう。WETという排水規制の世界での現状と、これに対する日本の実態(たとえば「経団連 WET」でググルと産業側の主張がでてきます)をご覧ください。
トキとコウノトリの絶滅、そして水俣病は、事前に予測できなかった、だから起こってしまったと主張することは可能かもしれません。しかし起こってしまった後の状況は、その反省が全くいかされていません。後進国と判断せざるを得ないと思います。