交通事故の原因は過失というより道路と車の欠陥

池袋で高齢者が運転する事故で3歳の女の子とその母親が死亡した時、高齢者だけを問題にする風潮があったので、5月4日記事で「池袋暴走事故を高齢ドライバー問題に矮小化してはいけない」と主張しました。その後、大津で50代の女性の強引な右折が原因で2歳の保育園児2名が死亡、愛知県西尾市で2歳の男の子とその母親が20代男性の違法な右折で轢かれ母親が重体になる事故が起こり、高齢者問題へのすり替えは消えました。しかし今度は「右折問題・ヒューマンエラー」というすり替えが報道されています。
私は1997年10月に、当て逃げ事故により、脳に高次機能障害を負いました。こんなことが子供達に起こってはならないので、なぜ事故は起こるのか、どうすれば防げるのか考え続け、結論に到達しました。これに沿って現状を変えてほしいと、2001年につくば市でシンポジウムを開催し、また2002年には東大女子卒業生同窓会のフォーラムで発表し、同窓会誌に概要が掲載されました。残念ながら当時はブログという広報手段を知らず、狭い範囲にしか意図は伝わりませんでした。
交通事故は過失により起こるものではありません。例えそうだとしても、製造者は一定の過失があっても危険でない製品を作ることが義務づけられています。例えば誤操作によって爆発する電子レンジを作ったメーカーは、製造物責任法違反に問われます。その意味では道路と車は、製造物責任法違反の典型なのです。
下の写真をご覧ください。車の台数と交通事故の間には、相関係数0.969という、およそ自然界では見つからないような、高い正の相関があるのです。ここまで一定確率で事故を起こす製品なのに、消費者の責任にするのは非常識ではないですか?

f:id:Limnology:20190512124431j:plain

この現実をどう変えていけばいいのか。下記のグラフ以外の現状解析も合わせて、2002年当時の私の考えをまとめた同窓会誌の原稿を下記のリンクに格納しました。
https://drive.google.com/file/d/1smr5kTpVBh--puykBqcqUsBOrmI47mlA/view?usp=sharing
当時の解析で、16~19 歳の若者は全死亡原因の中で交通事故が男女とも最大であり、全男性死亡者の3人に1人、全女性死亡者の4人に1人が交通事故が原因で亡くなっていました。免疫も体力もつき、病気などになりにくいことから、交通事故による不慮の死が最大になるのだと思います。それでなくても少なくなっている子供達がこんなことで亡くなる日本に、未来はありません。

(追伸)

上記文書を公表してから20年近くが経ち、上記文書で提案した、歩行者を守る仕組み(歩行者側エアバック、自動運転など)がようやく少しだけ現実化しましたが、それ以外にも、もっとできることがあります。

ご感想やご提案をお寄せいただけると嬉しいです。

私の文書は転送自由です。拡散お願いいたします。