食塩からマイクロプラスチック

水道水からマイクロプラスチックが出たとの報告が話題になりましたが、原典は下記です。
Anthropogenic contamination of tap water, beer, and sea salt

水道水の危険性についてはこのブログで何度か指摘しているところですが、上記論文は水道水だけでなく、塩のマイクロプラスチックも調べています。
私は20年以上前から、海塩は何らかの人工化学物質で汚染されている可能性が高いと考え、岩塩をハンマーで砕きミルにいれて使うか、イオン交換膜法で作られた精製塩しか使っていません。
塩田は必ず最下流部の平野にあります。陸域から流入する河川の影響を最も受ける部分です。陸から流れてくる有象無象の物質が含まれている海水を乾かして塩にしたものには、どう頑張っても陸で流された人工化学物質が入らざるを得ません。
もちろんイオン交換膜法で使う海水にもいろいろ混じっているのですが、そのまま乾燥するのではなくイオン交換膜を通してNaとClを集めますので、少なくともマイクロプラスチックのような固体は除去されます。
沿岸域は陸から流される汚濁物質が集積される場であるとの理解と、イオン交換膜の原理を知っていれば、汚濁という観点からは精製塩を使う方が、天日海塩よりも安全ということは理論的に結論できます。そして今回読んだ論文では、塩1kgあたり平均212個のマイクロプラスチックが混ざっていたそうです。
水や塩といった生きていく上で摂取せざるを得ない物質は、わずかの汚染でも長期的に蓄積すれば、ある程度の濃度になります。マスコミなどで騒がれる以前から、基本原理から論理的に推定して、自ら身を守る方法を考えるのがベストです。あわせて、水に流した物質はいつかは我が身に返ってくると考え、水に怪しいものを流さない社会に変えていくことが必要です。
なお岩塩は人間が発生する以前の海水が岩になったものなので、そのものには化学物質はありませんが、砕かれて売っているものは用心した方がいいと思います。砕くのに使用する道具に、機械油が使われている可能性があるからです。なので私は、固まりの岩塩が普通に入手できるようになるまでは、岩塩が出る地域に調査に行く方に拾ってきてもらって、それをハンマーで砕いて使っていました。