水草堆肥化は税金の無駄遣い

宍道湖では異常繁茂するようになった水草を、堆肥にして有効利用しようとしています。
https://mainichi.jp/articles/20180924/k00/00m/040/048000c
これは税金の無駄遣いにしかなりません。なぜか。
1950年代まで肥料用に水草を採草していたのが廃れたのは、除草剤によって水草がなくなったこともありますが、化学肥料の方が使い勝手がよいからです。無料なら使ってくれるかもしれませんが、お金を出してまで使い勝手の悪い堆肥を農家が使うはずがなく、水草を刈り取って輸送・堆肥化するのにかかるコストは税金頼みとなります。
また、そもそも1950年代までも、堆肥にして使っていたのではありません。全国的に見ても、大部分を堆肥にして使っていたのは琵琶湖だけで、私達が調べた他の13湖沼では大部分をそのまま、もしくは乾かしただけで使っていました。拙著「里湖モク採り物語」の付表をご覧ください。
宍道湖では作物を植えた畝の間に生のまま敷いて腐敗させました。これにより肥料効果だけでなく、保湿効果や雑草抑制効果があると考えられていました。つまり、現在のビニールマルチの機能も期待されていたわけです。マイクロプラスチック問題でビニールマルチも使用を減らすことがいずれ求められますから、どうしても刈り取るのでしたら、こういった使い方も模索すべきだと思います(ただし今の農薬漬の農地では、分解者が少なくてかつてのようにすぐには分解しない可能性があります)。
私は関係者に、「現時点では、草丈数10cmの短い段階でロボット(既に東大の先生が開発済み)に自動刈り取りさせて、そのまま湖内でデトリタス化させるのが最もコストがかからず、シジミへの被害も少ない。」と説明しています。ですが、なぜか堆肥化一辺倒です。学者の私よりもコスト意識が低いんじゃないかと疑ってしまいます。

 

里湖(さとうみ)モク採り物語―50年前の水面下の世界

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