人生100年時代における就活の留意点

下記アパート、筑波大まで自転車で5分、つくば駅まで10分、軽量鉄骨構造、エアコン完備で、家賃はいくらでしょう?

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何と月28000円!それでも3月に筑波大の学生さんが卒業してから借り手がいないのは、駐車スペースがないからと思われます。
私が学生だった30年前に文京区本駒込で住んでいたアパートは4畳半に流し、コンロ1個を辛うじて置けるスペース、トイレ共同、風呂無し(銭湯に通ってました)、もちろんエアコンなどなく、それでも家賃は月23000円でした。隣には生活保護を受けている老婆がお住まいで、その辺りで一番安い物件でした。
改めて東京・横浜近辺の不動産価格は異様だと思いました。
人生100年時代にいくら必要か話題になっていますが、たとえば配偶者との死別後、上記程度のアパートで70歳から100歳まで30年間暮らすとして、東京・横浜近辺だと安くても48000円はすると思います(それでも破格だと思います)。月に2万円つくばより余計に払うとして、年に24万円、30年間で720万円です。「老後2000万円」の半分近くが、これで節約できてしまいますね。
家庭を持ってからの年月で計算すると、生涯で家賃に支払う額の差はさらに大きくなります。その分、地方で暮らす方が貯蓄に回せる額が増えます(同じ職種なら、不動産価格ほど、東京・横浜と地方とで差はないと思われます)。
以前にこのブログで、資産運用で増やすよりも節約した方が確実と書きましたが、そういった観点からも「どんな職業に就きたいか」だけでなく、「どこで暮らしすか」も考えて就活してはどうでしょうか。
そして政治家や官僚の方々には、東京・横山近辺への一極集中を緩和する政策を真剣に検討していただきたいです。東京・横山近辺は保険会社の格付けで、世界の大都市で最も自然災害リスクが高いとされています。地震や高潮が起こったら壊滅的な被害を受け、国家の命運にも関わります。一方で一極集中により地方自治体は深刻な危機に直面しています。

一極集中の緩和は待ったなしの課題なのに、野党も含め全く争点になっていないのは、一億総近視化とも言うべき状態ではないかと危惧しています。

(追伸)

あるいは、これほど天災が多い国なのに、まともに地学が教育されてないからかもしれません。私が日本で過ごした高校は山中伸也氏の母校として有名になったところですが、地学教育が充実していて、高校1年では全員が地学実習に行きました。地学の先生からは「山陽新幹線は地震でやられる。あんなところに造ったのは無謀だ。」と話してました。阪神淡路地震が起こるずっと前のことです。そんな先生ですから、都内での用事は極力断り、どうしてもの場合も日帰りしていました。私が東大に転職したのも、柏キャンパスだったからです。