命を凍らせて時間稼ぎ

人の体外受精では精子や卵子が液体窒素で保存されて用いられますが、アメリカではこの手法を使って、温暖化による死滅が予想されるサンゴの精子を凍結保存するプログラムが進んでいるそうです。凍結により理論的には数百年から数千年、生きた状態で保存できるそうです。担当者はさらに、卵子や浮遊幼生、サンゴ片、サンゴ礁に生息する魚の精巣も凍結保存することを目指しています。
「100年後に科学で何ができるようになっているかは予想もつかない。」
その間に人類は地球温暖化を食い止め、サンゴが白化して死滅する状況から脱することができているかもしれないとの期待からです。
私は「中東の原油の起原はサンゴ礁で作られた有機物」との仮説を持っていて、サンゴ礁を守ることは二酸化炭素吸収の面でも重要と考えています。その点からもこういった試みは評価したいところですが、一方で、「科学により何とか時間稼ぎができるかもしれない」との期待が人間に当てはまる事態が思い浮かんで、ぞっとしました。核戦争後、放射線が十分安全になってから凍結保存した精子と卵子をかけあわせて人間を発生させる、なんてプロジェクトが提案されるような状況に、未来永劫なりませんように。。。