シジミ戦国時代

Googleで「タイワンシジミ」と検索すると、67400件もヒットします(1月23日現在)。
トップはWikipediaで、「学名Corbicula fluminea、雌雄同体で淡水域に住む二枚貝」と説明されています。
このWikipedia頁の左側にある「English」を押すと英語での説明がでてきますが、「淡水域に住む」とは書かれていません。また下の方にCorbicula fluminalisとの違いを殻の形態で説明しています。
「Global invasive species database」になると誤解はもっと顕著で、Corbicula fluminalisCorbicula flumineaのsynonymとしています。そうではなく、Corbicula flumineaは雌雄同体のシジミCorbicula fluminalisは雌雄異体のシジミです。日本で言えば汽水域に住むヤマトシジミが雌雄異体で放卵放精タイプです。このあたりを間違っているので、「Global invasive species database」ではヤマトシジミタイプのCorbicula fluminalisは項目にありません。おそらく、C. fluminalisC. flumineaと同じとして扱っていると思われます。
では日本に侵入している外来シジミは雌雄同体のC. flumineaだけかというと、どうもそうではないかもしれないと思わせる論文を見つけました。
https://www.researchgate.net/publication/324162867_Targeting_clams_insights_into_the_invasive_potential_and_current_and_future_distribution_of_Asian_clams
この論文によるとC. fluminalisも日本に侵入するリスクが高いだけでなく、C. largilliertiというシジミも日本に侵入するリスクがあるようです。
今のうちにそれぞれの地方のシジミの標本を確保しておくのがよいと思われます(遺伝子解析に使うことを考えると、冷凍保存でしょうか)。