参考書28:フィールドワーク心得帖 新版

室内実験やモデル計算ではなく、現場で起こっている現象から課題を解決するために必要なノーハウが一通り解説されています。さらには解決した内容を口頭発表(スライド、ポスター双方)とレポートにまとめるところまでマスト事項が解説されているので、フィールドワークで卒論・修論を書く予定の学生さんにとっては最強の参考書だと思います。
本書のユニークな点は、自然を対象としたフィールド調査だけでなく、ヒアリング調査も「フィールド調査」として解説されていることです。陸水研で扱っているのは、私達の身近にある、人間活動の影響が皆無ではない水域です。ヒアリング調査は、何が問題になっているかのテーマの設定から、現象解明のヒントまで、様々な点で有益な情報が得られます(ただし鵜呑みにはしないこと)。
私達が生活していて困ったことは、条件が揃った状態で起こっていることは少なく、ネットで調べたことが当てはまらないことが多いです。ましてや条件を揃えて実験することなどできません。モデル計算が当たらないことは、専門家による経済予測がおよそ当たらないことからも分かります。
本書で解説されていることは、現場から解を得て、それを「何となくわかった」ではなく、他人にも説明できるくらい明確にするまでのノーハウが書かれています。特に環境科学に関心の無い学生さんでも、読んでおいて損はない本だと思います。

 

フィールドワーク心得帖 新版 (滋賀県立大学環境ブックレット)

フィールドワーク心得帖 新版 (滋賀県立大学環境ブックレット)

 

 (追伸)
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