誰が科学を殺すのか 科学技術立国「崩壊」の衝撃

理工系研究者なら実感できる記載と解析満載だと思います。個々の感想は後日にコメントしますが、既に日本では次世代の育成は遅きに失している可能性をご紹介します。
現在、文科省では「学術変革領域研究(A・B)」という、比較的大型の研究プロジェクトを公募しています。特に「若手の育成を目指す」として、Bタイプでは全体の代表者も各研究班の代表者も全て、45歳以下で縛っています。
私はかねてからハーバードやMITを擁するボストンとその周辺の雰囲気にとても近い「つくば」を、ボストンエリアの研究者達のように多様な分野の研究者が顔を合わせてオリジナルな研究を展開する場にしたいと考えていました。それで、つくばと東京の若手研究者で某テーマに取り組めないか打診を始めました。
ところが大学だと講師・准教授クラスは45歳過ぎている方がほとんどで、助教は任期付なので、こういったプロジェクトをリーダーになるのは難しい状況でした。今のところお誘いできた方は全て旧国立研究所の研究者だけでした。事情は他の分野でも同様のようで、本職ではなく趣味の分野でお声がけした方のお一人は、「45歳以下ということで、本職のテーマでプロジェクトのリーダーになるよう言われて参加できません。」とのことでした。45歳以下若手の争奪戦が始まっていました。
私は以前からこのブログで、「研究をしたいなら大学ではなく『つくば』」と繰り返し書いてきましたが、45歳以下で常勤の研究者の比率だけみても、そのことが裏付けられたように思いました。同時に、東大も含めて45歳以下の常勤が非常に少ない今の状況で優秀な若手が日本にの大学を目指すハズもなく、理工系のテーマは世界共通で海外で十分やっていけますから、優秀な若手の流出は既に歯止めがきかない状況だろうと思いました。そもそも、科学技術が全く分からない文系の政治家や企業関係者、官僚が、科学技術立国の指揮をとるのが愚。

誰が科学を殺すのか 科学技術立国「崩壊」の衝撃

誰が科学を殺すのか 科学技術立国「崩壊」の衝撃