今年90歳になる父親は心臓に持病を持っていることもあり、今回のコロナを受け3月16日から介護老人保健施設に入所させています。
介護老人保健施設(=老健)は、ずっとそこで過ごす施設ではなく、家庭での生活が不安になった状態の高齢者の自立を支援し、家庭への復帰を目指すためのサービスを提供する施設です。
父親は要介護2で日常生活に支障ありませんが、自宅やデイサービスだと運動をさぼりがちで、だんだん歩行能力が衰えてきます。それで数年前から年2回、それでなくても犬の散歩がきつくなる真夏と真冬に数ヶ月づつ老健に入所して、歩行機能回復をメインにお世話になってきました。
今回はコロナが長引きそうだったので少なくとも9月末まで入所としたところ、案の定、全国で緊急事態になり、デイサービスなどが軒並みストップしました。父が入所している老健でも家族も面会禁止、外部から来てもらっていた散髪サービスもストップし、唯一、歯科の訪問治療だけ外部から来てもらっています。
そうしたところ、父親が歯肉炎を起こして治療が必要との連絡が入りました。以前にも書きましたが、「老後を健やかに過ごすのに必要なのは足腰と歯のメンテ」と私は思っていて、父親が自宅にいるときは月数回、歯科医に連れて行ってメンテしてもらってました。その歯科医も訪問治療できるのですが、こういう状況なので外部の方ではなくウチに来ている先生でお願いしたいとのことだったので、初回治療に私が立ち会い、主治医の先生からの伝言をお伝えすることにしました。
2ヶ月ぶりに会う父は至極健康そうで、期待通り、足取りは入所前よりしっかりしていました。今はコロナで世間は大変ということも、ちゃんと理解してました。
看護師さんに「こういう時だから気を遣うでしょう?」と話しかけたら、「そうなんですよ。自分からうつしてはいけないから、自宅でもできる限り外出しないようにしています。」と話してました。マスクなどの防護資材に話題がうつると、「アベノマスクなんて、まだ来てないけど、私はいりません。あんなのにお金使うくらいなら、こういったところにどうしてお金を使わないんでしょう?」と憤慨していました。
老人がますます閉じこもって孤立したり認知症などが悪化したりなどが問題になっています。うちの場合、今回はたまたま個室に空きがでたのでタイミングよく入所できましたが、老健は日頃から需要が多く、年2回の父の入所でも、数ヶ月前から空きが出たら連絡いただけるようにして、タイミングをみはからっています。
人生100年時代、高齢者の自立を支援し、家庭への復帰を目指すためのサービスを提供する老健の需要はますます増加しますし、今回のような場合にシェルターの役目も果たせます。
コロナが一段落したら、今回の高齢者の状況を踏まえて、老健をより利用しやすく、また職員の方が定着するような政策を打ち出してほしいと思います。