伊勢湾台風の教訓

伊勢湾台風級と紹介されている台風10号が、いよいよ接近してきました。
私の両親は1959年に発生した伊勢湾台風の被災者です。その翌年、名古屋で私が生まれました。
両親は社宅に住んでいました。当時の多くの戸建てのように、くみ取り式だったトイレは家とは独立した廊下続きの建物だったそうです。そのトイレが全壊し、かなり長期間自宅にトイレが無かったのが一番大変だったと、母はよく言ってました。
この経験があるので、20年前に両親と住む自宅を建てたときに、母は雨戸をつけるべきだと強行に主張しました。台風が来るのに雨戸がない家なんてあり得ないと言うのです。当時はまだ地球温暖化でスーパー台風が関東に来るなんて論文は出ておらず、工務店さんも雨戸はどこにもつけない設計にしていました。
「関東に伊勢湾級の台風なんて来ないから、大丈夫。それに窓は強化ガラスだし。」
「伊勢湾台風が来たときも、あんなすごいことになるなんて誰も言ってなかった!」
母は頑として折れないので、仕方なく両親が主に使う和室には、金属製の雨戸をつけました。
そして20年後の今、関東にもスーパー台風が来る可能性が非常に高くなってきましたし、昨年10月にはかなり大きな台風に襲われました。当時の私は台風より温暖化による猛暑を緩和することを重視していて、我が家は風通しをよくするために、至る所に窓があります。そのため、かなり特殊なタイプの窓もあり、今から全ての窓に雨戸をつけるのは無理だろうと思います。
あと5年後の定年までには、大学にある蔵書類や資料を自宅に引き取るスペースを作らねばならず、何らかのリフォームは必要になります。その間にスーパー台風への備えをどうするかも検討しないとと思います。
母は村一番の美人と言われ、手先が器用で、体操やテニスが得意で達筆。しかし「味噌汁を飲めば脳味噌によい」と本当に信じて子供に言うような科学音痴で、だから日本の女はバカにされるんだと、不細工で不器用で運動音痴の私は、母のようにはなるまい(なれない)と思ってきました。本件だけは、亡き母が「そらみたことか」と高笑いをしている気がします。。。