若手支援

ここ数日、私の講義を半年聴講した学生さんの推薦書作りに取り組んでいます。書きながら、私自身も講義を受けただけの先生から親身に指導してもらったなぁ。。と、思い出してました。
私が最初に書いた筆頭論文は鹿児島県甑島の汽水湖での大型底生動物相に関するもので、C先生が査読者(もしくは担当編集者)でした。当時の東大地理は完全な放任主義で、指導教員は一切、論文指導をしません(その代わり、著者にも指導教員名は入らず、私の最初の論文は単著です)。なのでC先生からみたら箸にも棒にもかからないシロモノだったらしく、「あなたのことは知らないわけではないので、敢えて書きます。はっきり言って、あなたの文章はへたくそです。何が言いたいのか全くわかりません。」と、あけすけに書かれて、細かに添削してくださってました。講義でのC先生は終始にこやかで温厚な方だったので、これは相当ひどかったんだろうと、すごく恐縮しました。その後も数回は先生の手を患わせて、ようやく日の目をみました。
私が暇だから推薦書を引き受けたのではないように、C先生も相当お忙しかったと思います。それでも、文章の下手くそさを理由にリジェクトにもできた内容を受理されるまで指導してくださったのは、若手を支援することが何より重要だと考えておられたからだと思います。
「若手を支援する」というのは、「自分の学生を支援する」とイコールではありません。自分が関わっている分野を支える若手がひとりでも多く育つように、ということだと思います。
推薦書をお願いしてきた学生さんは私とすごく似ていて、高校で北米に留学、大学2年時で文系から理系に転じて自然地理学を専攻しています。大学院では水環境問題を実践的に解決するために、オックスフォード大などへの進学を考えているそうです。こういった人材が(日本のことも考えてもらえればありがたいですが)、水環境問題を総合的に解決する学問を育ててくれればと思います。